科学成果 XRISM機能性能確認フェーズで観測する天体リストが公開されました。
関連トピックス
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太陽の爆発にそっくり? 超巨大ブラックホールからのガス噴出をXRISMが観測
X線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」が、近傍宇宙の活動銀河NGC 3783の中心に存在する超巨大ブラックホールの近くで、ガスが突然噴き出す様子を観測しました。そのスピードは光の速さの20%にも達します。XRISMなどを使った10日間の観測によって、その発生から加速の様子までが捉えられました。解析の結果、その加速は太陽のコロナ質量放出と同じように「磁気リコネクション(磁力線のつなぎ変え)」という現象によって引き起こされたと考えられます。この発見によって長年の謎である活動銀河核から噴き出す超高速なガス噴出の駆動機構および、ブラックホールから銀河へのフィードバック機構の理解がさらに進むことが期待されます。
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XRISMがとらえた「奇数番号元素」の起源
超新星残骸カシオペアAから塩素とカリウムを検出
X線分光撮像衛星XRISM(クリズム)は、超新星残骸カシオペア座Aの観測(図1)によって、爆発前の星の内部で塩素やカリウムといった「原子番号が奇数の元素」が効率的に生成されていたことを明らかにしました。塩素やカリウムは、生命活動の維持に欠かせない重要な元素です。今回の成果は、大質量星のモデルとして従来考えられていた「玉ねぎ状の元素構造」を破る、星内部の激しい活動が、奇数番号元素の供給源として重要な役割を果たしていることを示唆します。
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XRISM が観測した太陽系外からの来訪者 3I/ATLAS
2025年7月1日に発見された恒星間彗星「C/2025 N1(3I/ATLAS; アトラス彗星)」は、太陽系の外から飛来したきわめて珍しい天体です。これまで恒星間天体として確認されているのは「C/2017 U1(1I/ʻOumuamua; オウムアムア)」と「C/2019 V4(2I/Borisov; ボリソフ彗星)」の2例のみで、研究者たちは太陽系外の物質がどのような特徴を持つのかを知るため、可視光、赤外線、電波など、さまざまな波長で観測を進めてきました。