X線分光撮像衛星XRISM │ JAXAX線分光撮像衛星XRISM

科学成果

科学成果 XRISMで迫る恒星巨大フレアの現場―超精密分光によるプラズマ診断―

活動的な恒星(例えばRS CVn型連星*1)は、太陽よりも桁違いに大きなフレア*2現象を起こすことが知られており、巨大フレアの発生メカニズムや周辺環境への影響を調べる上で重要な対象になります。本研究では、2つのRS CVn型連星の観測を通して、X線分光撮像衛星XRISM*3によって初めて恒星フレアを捉えることに成功しました。XRISMは、2023年9月に打ち上げられた日本主導の欧米との国際ミッションです。搭載されたX線分光器Resolveは、鉄などのK殻遷移輝線*4を史上最高クラスの分光能力で分離し、特に高い温度のプラズマ*5成分を詳細に調査することができます。私たちのグループでは、太陽観測衛星「ひのとり」*6をはじめとする過去の太陽観測で培われた鉄のK殻輝線解析手法を引き継いで拡張し、恒星巨大フレアの現場におけるプラズマの温度、電離状態、加速電子、元素組成などを診断しました。今後の展望として、より規模の大きい、多くのX線光子を含むフレアに対してもXRISMで観測を行うことで、恒星巨大フレアの時間発展を詳細に追うことが可能になると期待されます。

詳しくは、ISASウェブサイトの記事 https://www.isas.jaxa.jp/home/research-portal/gateway/2026/0306/をご覧下さい。

用語解説

*1 RS CVn型連星:連星とは2つの星が互いに重力的に束縛している系を指す。RS CVn型星は、りょうけん座RS星に代表されるフレア星で、公転周期が比較的短い、分離型の近接連星系。
*2 (恒星の)フレア:恒星の外層大気で磁場に蓄積されたエネルギーが突発的に解放される爆発現象。
*3 X線分光撮像衛星XRISM(X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission):日本が主導する国際ミッションで、2023年9月に種子島宇宙センターより打ち上げられた。広い視野を持つXtend装置と分光能力に非常に優れたResolve装置を搭載している。
*4 K殻遷移輝線:原子の最内殻(K殻)に電子が遷移する際に放出されるX線。
*5 プラズマ:電荷を持った粒子(イオン、電子等)の集合体。
*6 太陽観測衛星「ひのとり」:ASTRO-A。日本の太陽観測衛星で、1981年2月から1991年7月まで運用された。太陽軟X線輝線スペクトル観測器SOXを搭載し、一部の鉄イオンからのK殻輝線に対して高スペクトル分解能で太陽フレア観測を行った。

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